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HACK005:営業交渉が失敗する条件

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  お客様と良い関係を構築し、ニーズをヒアリングし、万全な提案をして遂に契約のタイミングでお客様から言われる「これはもう少し安くならない?」。カンッカンッカンとベルが鳴って、営業交渉(以下、交渉)の始まりだ。私の過去の上司(A氏)は交渉が始まると「心が笑っちゃう」と言い始める変態的な交渉好きの営業だったが、普通の営業マンは好きではないだろう。 A氏は交渉好きだから部下だった私にも交渉をさせる。交渉が決まると快感がある。それなりに時間をかけるし、交渉相手の最終的な手の内もわからないから、決まるとひと仕事を終えたという感慨もひとしおだ。ただ、交渉は上手くいく時といかない時がある。これは交渉が上手くいかない事例から、まとめた交渉失敗の条件だ。 いずれかが交渉成立を目指していない 自分の条件が通らない場合に、この一連のコミュニケーション(つまり、交渉)を止めようと思っている。これはどういう状態かと言えば、一方は交渉結果から得られる成果に注目しているのに対して、もう一方が交渉そのもののコストに注目している状態だ。後者はどうすればこのコストを早くなくすことが出来るのかだけを考えて、最後通牒を突きつけて交渉を切り上げたがっている。突きつけられた方は、本当の最後通牒なのか、偽の最後通牒なのか見極めが難しい。ただ本当に最後通牒なのであれば、突きつけられた方は交渉を切り上げて条件を飲むしかない。 相手の条件が明確ではない これは組織において往々にして発生する。なぜかと言うとコミュニケーション相手の担当者は上司や関係者から、ただただ指示を受けているだけである場合があるからだ。こうなると全体としての条件が明確ではないから、個別の条件について譲歩することが出来ない。また、交渉相手の担当者に十分な能力を有していない場合もある。例えば、ベンダー側との交渉が始まると「不快」に感じるような担当者もいれば、そもそも社内で調整をする能力に欠けている担当者もいる。 自社の条件が明確ではない 2番目の条件は自社にも翻(ひるがえ)ってくる。営業マンであれば、値下げに応じた条件をお客様から勝ち取ることを求められるケースもあるだろう。ただ、社内で受け入れられる条件を社内で事前に調整することが出来ない場合、お客様からは無能な営業マンとして見られてしまい交渉を打ち切られることもあるだろう。 交渉によって価値を...

COLUMN001:自分の営業スタイルの原石を探すこと ~3人の営業マンの話~

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  私のキャリアの1~2年目は、新規事業担当で入ってきた部長Aのアシスタントから始まった。僕の役割は、資料の整理とか新規事業先の見込み客の開拓やプロジェクト・マネジメントのアシスタントだった。その部長Aは、BANTを流行らせた大手のソフトウェア会社からの転職で入ってきたのだが、洗練された営業マンだった。まず見た目がオシャレで少し胡散臭い色のスーツをバシッと着て、光ったとんがった靴を履いてお客様へ会いに行っていた。その姿は、「ザ・キラキラ営業マン」という感じだ。若い営業マンが青いスーツを着て、ピカピカに髪の毛を固めている姿の更に洗練された形だった。私は営業マンはかくあるべきなのだと、当時は思っていた。ただ、部長Aの教えが肌に合わずに個人的には苦しいと感じることはあった。 私が1人の営業マンとして活動を始めたのは、3年目以降だった。3年目以降には別の営業部長Bの元へ行き、営業マンとしてデビューした。営業部長Bは、営業マンに大切なのは「キャラ」だと私に言った。営業部長Bは当時齢45歳になろうとするオジサンなのだが、社内の女性陣からはカワイイと言われていた。その天性のカワイさは営業活動にも反映されていて、商談に同席すると「オジサンがそんなこと聞く?」みたいなことを聞くのに、お客さんから好印象を持たれるのだ。こちらも「ザ・カワイイ営業マン」という感じだった。私は、営業部長Bから自分と同じ戦略でいくこと、つまりカワイくなることを勧められた。ただ、私は自分がそんなにカワイイ人間になるのが性に合わないし、全然ビジョンが湧かなかった。 3年目には、本当に少数だが同僚がいて、その1人の営業部員Cの商談に同席した。営業部員Cは当時取り扱いを始めた製品を唯一売ることができる商品知識と業務知識を有した営業マンだった。もともとは営業マンではなく技術者だったということで、おそらく営業の基礎的なトレーニングは受けていなかった。同席した商談を隣りで見ていて、営業部員Cの商談は決してイケていなかった。説明は冗長だが早口だったし、商談の最初にアイスブレイクもないから、お客様と打ち解けてもいなかった。正直、私の方が上手いのではと思った。一通りこちらの説明を終えると、専門製品なのでお客様から続けざまに質問を貰っていると、営業部員Cがおもむろにお客様に「もうしゃべるな」という形で手をお客様の方に向けた...

HACK004:営業は4つの時間で出来ている

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  全ての人に共通して与えられているリソース、それは時間である。あなたは働く時間を、何にどれくらい使うことが出来ているか意識できているだろうか。経営学の始まりと言われているF・テイラーの「科学的管理法」は、工場の業務をストップウォッチで測り業務の標準時間を定めることで生産性を大幅に向上させたのである。「時間を管理すること」は、生産性と直結しているのである。そして、営業部員の給料は企業から見ればある種の投資である営業部員の活動が、適切に投資となっているかを見る必要がある。 ここで提案したいのは営業部員の活動を以下の4つの時間で分けるというのものだ。 顧客面談  :初回・提案を問わない顧客との全ての打ち合わせ 案件検討  :面談前の調査、社内の提案調整、提案書作成 契約・請求 :案件の契約書処理や顧客への請求等の案件成立後の後処理 報告・その他:案件の社内への報告やその他の一切の時間(不明時間を含む) さて、上記の時間の中で直接的な売上関係するものはどれだろうか。営業活動は投資なのだから、案件を作る活動が該当する。そうすると、「1. 顧客面談」「2. 案件検討」の2つが投資に該当する。「3.契約・請求」は一見すると「投資」に該当すると思われるが、これらの時間は売上がほぼ確定的な状態になって以降に発生するため投資ではない。 営業活動の投資としての効果を最大限にするためには、「3. 契約・請求」と「4. 報告・その他」の時間を最小にし、「1. 顧客面談」と「2. 案件検討」の時間を最大限にすることだ。イメージとしては、次のような図のイメージだ。この場合、実際に売上につながる時間は全体の62.5%しかないことがわかる。この時間を大きくすればするほど、売上アップにつながる場合が高い。ただし、必ずしも売上アップにならないケースは需要が少ない場合であり、その点は常に市場を確認しなければならないだろう。 営業活動の分析のイメージ 営業部員の時間分析は、 1. 顧客面談、2. 案件検討、3. 契約・請求、4. 報告・その他の4つに分類し、 「1. 顧客面談」「2. 案件検討」を最大にせよ

HACK003:この顧客との面談は何回目か?

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  さて、今日お会いしたお客様との打ち合わせは、累計で何回目の打ち合わせだったか確認できるだろうか。もしわかっていないのであれば、過去に遡って面談予定の記録の横に何回目の打ち合わせか数字を書き足そう。もし分かるようであれば、あなたの行動を見直すチャンスだ。面談は営業マンのリソース管理の本質だ。どんなに頑張っても1日の面談件数は上限がある。toBなら5件か、toCなら10件飛び込めるだろうか。ただ上限があることは変わりはない。限りあるリソースを管理するためには記録と分析が重要なのだ。 ある生保営業マンは、自分の1年間の顧客との面談を記録し振り返った結果、売上の93%が2回目までの面談で購入し、売上の7%以上が3~5回目までの面談で購入を決めたことがわかった。そして、全体の50%の面談が3回目以降の面談であったのだ。さて、売上を上げようと思った際にすべきことは何だろうか。結論は簡単だ。3回以上の面談が必要だと思われるお客様は必要以上に執着せず新たなお客様を探すのだ。これによってこの生保営業マンは売上を2倍にした。 では、面談回数が多いお客様はすべからく執着すべきではないのか。残念ながらそうではない。toB営業であれば、お客様の条件を調整するのに何度も面談が必要だ。あなたの取り扱っている製品が初回の面談から受注までが3ヶ月以上あるのであれば、それはそれだけ面談をする必要があるということだ。なぜなら、社内の関係者や条件は少しずつしか明らかにならないからだ。つまり、あなたのサービスとお客様の条件によって必要な面談回数は異なる。さて、今日のHACKは少しまとめてみよう。 この顧客との面談回数は、累計何回目かを記録せよ! もし1・2回目で受注が出来るのであれば、執着せずに新規顧客を探せ! もし3回目以降で受注が出来るのであれば、諦めないでネクストアクションを設定し続けろ!

HACK002:営業マンは秘密の手帳を持て!

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  多くの会社では営業マンが持っている全ての案件は、正直に・正確に報告されるべきだと言われている。SFAやCRMなどのITツールは、その流れに拍車をかけているはずだ。私はそれに対しては、異を唱えたい。そして、私は営業マンは誰しもが秘密の手帳を持つべきだと思っている。なぜなら、秘密の手帳は営業マンが主体性を失わないためのツールであるからだ。ここで言う秘密の手帳というのは、営業マンが会社に報告しない案件や進捗を管理している手帳やファイルのことだ。 近頃はリクルートが広げたのヨミという管理手法が一般化して、営業活動はヨミ会によって管理されている。もちろんヨミもヨミ会も素晴らしい管理手段ではあるが、それによって全てが管理される必要はない。ヨミ会によって支配された営業活動は悲惨だ。なぜなら、営業活動が全てタスク化されてしまうからだ。全てがタスク化された営業活動の問題点は①戦略性の欠如と②営業の非効率化によって発生する、営業マンの主体性の欠如となる。 「①戦略性の欠如」とは駆け引きや時間経過、根回しなどによって良い案件となるものが、ヨミ会では画一的な指標によって判断され、指示されたタスクを実施すると顧客との信頼関係の破壊や失注につながることがあるからだ。「②営業の非効率化」とは、毎週全ての案件に対してタスクが発生するということだ。「電話で確認をとる」や「メールで状況を確認する」といった細々なタスクが全ての案件に発生し、本来注力しないといけない案件に割く時間が削られたり、新規案件の発掘がおろそかになったりする。 ヨミ会の問題点は、報告内容では上長が顧客状況を完全に把握することが出来ないことが原因だ。そして、それは残念ながら実際に会った営業マンは担当者の熱意や能力、決済者の温度感など言葉にならない情報を感じている。こういった情報を管理して、営業マンが自分でヨミ会に載せるまで案件を進捗させるためには、自分で案件を管理しなければならない。そのための秘密の手帳が必要だ。さて、あなたは秘密の手帳を持っているだろうか。 あなたは秘密の手帳を持っているか?

HACK001:信頼関係を築くために、まずはミッションを聞き出そう

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皆は、打ち合わせが始まってすぐに何を話し始めるだろうか。同僚の打ち合わせに同席して、開口一番「受付の人の笑顔が素敵ですね」と話し始めたとき、僕は隣りで正直「マジかよ」と思った。こんな教科書通りの言葉を言われてお客様は本当に嬉しいだろうか。このインターネットの時代は、お客様もそこらへんの初心者営業マンと同じくらいの知識を持っていることがあるし、役職者はなんども営業を受けていて、そういう常套句的なアイスブレイクは聞き慣れている。 一番最初にお客様と話し始める目的は、シンプルだ。お客様と仲良くなることだ。ビジネスの付き合いではなく、シンプルに人として好きになってもらおう。じゃぁ何をするのか。まずはレアケースからお伝えしたい。もし、会っている担当者と共通の話題がある時は、それを目一杯使おう。お客様の名前で検索してSNSで書評をしていたら、自分が読んだことのある本がないか見つけて、そしてそれを開口一番に話題に出せば、基本は好印象を持ってもらえるはずだ。こういった、何かがある時はそれを使えばよいのだ。 では、そういった共通の話題がない大半の場合はどうすれば良いのか。僕が取っている方法は、単純だ。担当者のミッションを聞いてみよう。「●●さんは、□□っていう部署なんですね。△△をやられてらっしゃるんですか?」基本はこれだ。そして、聞けるようなら「ミッションは何ですか?」「今年の目標は、何ですか?」と聞いてみよう。 なぜ、担当者のミッションを聞くとお客様と仲良くなれるのか。それは営業マンが会社ではなくて、今会っている担当者の人に対して興味を持っていることを示すことが出来るからだ。そうすると、会っている担当者も悪い気はしないし、自分の評価を上げるために営業マンが協力してくれると思うからだ。 打ち合わせの一番最初には、 担当者のミッションを聞き出そう