COLUMN001:自分の営業スタイルの原石を探すこと ~3人の営業マンの話~
私のキャリアの1~2年目は、新規事業担当で入ってきた部長Aのアシスタントから始まった。僕の役割は、資料の整理とか新規事業先の見込み客の開拓やプロジェクト・マネジメントのアシスタントだった。その部長Aは、BANTを流行らせた大手のソフトウェア会社からの転職で入ってきたのだが、洗練された営業マンだった。まず見た目がオシャレで少し胡散臭い色のスーツをバシッと着て、光ったとんがった靴を履いてお客様へ会いに行っていた。その姿は、「ザ・キラキラ営業マン」という感じだ。若い営業マンが青いスーツを着て、ピカピカに髪の毛を固めている姿の更に洗練された形だった。私は営業マンはかくあるべきなのだと、当時は思っていた。ただ、部長Aの教えが肌に合わずに個人的には苦しいと感じることはあった。
私が1人の営業マンとして活動を始めたのは、3年目以降だった。3年目以降には別の営業部長Bの元へ行き、営業マンとしてデビューした。営業部長Bは、営業マンに大切なのは「キャラ」だと私に言った。営業部長Bは当時齢45歳になろうとするオジサンなのだが、社内の女性陣からはカワイイと言われていた。その天性のカワイさは営業活動にも反映されていて、商談に同席すると「オジサンがそんなこと聞く?」みたいなことを聞くのに、お客さんから好印象を持たれるのだ。こちらも「ザ・カワイイ営業マン」という感じだった。私は、営業部長Bから自分と同じ戦略でいくこと、つまりカワイくなることを勧められた。ただ、私は自分がそんなにカワイイ人間になるのが性に合わないし、全然ビジョンが湧かなかった。
3年目には、本当に少数だが同僚がいて、その1人の営業部員Cの商談に同席した。営業部員Cは当時取り扱いを始めた製品を唯一売ることができる商品知識と業務知識を有した営業マンだった。もともとは営業マンではなく技術者だったということで、おそらく営業の基礎的なトレーニングは受けていなかった。同席した商談を隣りで見ていて、営業部員Cの商談は決してイケていなかった。説明は冗長だが早口だったし、商談の最初にアイスブレイクもないから、お客様と打ち解けてもいなかった。正直、私の方が上手いのではと思った。一通りこちらの説明を終えると、専門製品なのでお客様から続けざまに質問を貰っていると、営業部員Cがおもむろにお客様に「もうしゃべるな」という形で手をお客様の方に向けたのだ。それを見て、お客様は黙って、そのタイミングまでの質問に営業部員Cが回答した。私は、お客様がしゃべるのを遮るジェスチャーしたことにあっけに取られていた。商談が終わって、営業部員Cに聞くと「くだらない質問するから、聞いてらんなかった」と回答した。
さて、この同席した営業部員Cの商談は結果的にどうなったかと言うと、見事に製品を受注した。そして、その後に分かったのだが営業部員Cが得意とする製品は営業部長Bが苦戦しており、販売に商品知識と業務知識が必要だったのだ。ただ、この身近にいる3人の営業マンがそれぞれ違ったスタイルで営業をしているのを見て、だんだんと営業マンとして自分のスタイルを持つべきことが分かった。部長Aはそもそも顔が良いし、営業部長Bは末っ子らしい可愛らしさを備えていて、営業部員Cは元技術者で知識がある。なら、自分が強みとする営業マンとしての自分のスタイルの原石となるものは何なのか、それを見つけるべきなのだとその時思った。

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